zabbixの推奨の監視項目
zabbixは様々なデータを取得でき、それを条件にしてアラートを発生させることができます。
サーバ(LinuxやWindows)の詳細なデータを取得する場合は、専用のソフトウェアであるzabbix agentを監視対象のサーバにインストールする必要があります。
Linuxサーバ、Windowsサーバ、Webサーバ、ネットワーク機器について、筆者が推奨している監視設定は以下の通りです。
【Linuxサーバ】
Linuxサーバに対するお勧めの監視設定は以下の通りです。
監視項目 | 監視の目的 | データ取得方法 |
---|---|---|
死活監視(ping監視) | OSI参照モデルの3層(ネットワーク層)の正常性監視 | zabbixからping通信 |
TCP通信ポート応答監視 | OSI参照モデルの4層(トランスポート層)の正常性監視 | zabbixからTCP通信 |
CPU使用率 | OSの負荷状況の監視 | zabbix agentを用いた取得 |
メモリの空き容量 | OSの負荷状況の監視 | zabbix agentを用いた取得 |
ディスク使用率 | ディスクの空き容量が十分であることを監視 | zabbix agentを用いた取得 |
プロセス監視 | 重要なプロセスが起動していることを確認 | zabbix agentを用いた取得 |
ログファイル | アプリケーションのエラーログが出力されていないことを監視 | zabbix agentを用いた取得 |
ファイルの更新 | セキュリティとして不正にファイルが更新されたことを監視 | zabbix agentを用いた取得 |
【Windowsサーバ】
Windowsサーバに対するお勧めの監視設定は以下の通りです。
監視項目 | 監視の目的 | データ取得方法 |
---|---|---|
死活監視(ping監視) | OSI参照モデルの3層(ネットワーク層)の正常性監視 | zabbixからping通信 |
TCP通信ポート応答監視 | OSI参照モデルの4層(トランスポート層)の正常性監視 | zabbixからTCP通信 |
CPU使用率 | OSの負荷状況の監視 | zabbix agentを用いた取得 |
メモリの空き容量 | OSの負荷状況の監視 | zabbix agentを用いた取得 |
ディスク使用率 | ディスクの空き容量が十分であることを監視 | zabbix agentを用いた取得 |
サービス監視 | Windowsのサービスが起動していることを監視 | zabbix agentを用いた取得 |
プロセス監視 | 重要なプロセスが起動していることを確認 | zabbix agentを用いた取得 |
ログファイル | アプリケーションのエラーログが出力されていないことを監視 | zabbix agentを用いた取得 |
Windowsイベントログ | Windowsイベントログにエラーログが出力されていないことを監視 セキュリティとしてセキュリティログを監視して不正ログインを監視も推奨 | zabbix agentを用いた取得 |
ファイルの更新 | セキュリティとして不正にファイルが更新されたことを監視 | zabbix agentを用いた取得 |
【Webサーバ】
Webサーバに対するお勧めの監視設定は以下の通りです。
監視項目 | 監視の目的 | データ取得方法 |
---|---|---|
HTTPステータスコード | Webページが正常に動作しているかHTTPステータスコードの値(200番)を監視 | zabbixからHTTP又はHTTPSで通信 |
【ネットワーク機器】
スイッチやファイアウォールなどのネットワーク機器に対するお勧めの監視設定は以下の通りです。
監視項目 | 監視の目的 | データ取得方法 |
---|---|---|
死活監視(ping監視) | OSI参照モデルの3層(ネットワーク層)の正常性監視 | zabbixからping通信 |
イベント検知 | リンクダウンなどネットワーク機器の障害検知 | ネットワーク機器からのSNMP trap |
トラフィックの使用率 | インターフェース毎のトラフィック使用率の負荷監視 | zabbixからSNMPポーリング |
CPU使用率 | ネットワーク機器の負荷状況監視 | zabbixからSNMPポーリング |
メモリ使用率 | ネットワーク機器の負荷状況監視 | zabbixからSNMPポーリング |
zabbix agentのインストール(CentOS/RedHat)
zabbixにてサーバの詳細なデータを取得する場合、専用のソフトウェアであるzabbix agentをサーバにインストールする必要があります。
以下、CentOS/RedHatでのzabbix agentのインストール手順を記載します。
(1) 以下のコマンドを実行して、zabbixのリポジトリをインストールします。
【CentOS 8の場合】
# rpm -Uvh https://repo.zabbix.com/zabbix/7.0/centos/8/x86_64/zabbix-release-7.0-4.el8.noarch.rpm
【CentOS 9の場合】
# rpm -Uvh https://repo.zabbix.com/zabbix/7.0/centos/9/x86_64/zabbix-release-7.0-4.el9.noarch.rpm
【Red Hat Enterprise Linux 8の場合】
# rpm -Uvh https://repo.zabbix.com/zabbix/7.0/rhel/8/x86_64/zabbix-release-7.0-4.el8.noarch.rpm
【Red Hat Enterprise Linux 9の場合】
# rpm -Uvh https://repo.zabbix.com/zabbix/7.0/rhel/9/x86_64/zabbix-release-7.0-4.el9.noarch.rpm
(2) 以下のコマンドを実行して、zabbix agentをインストールします。
# dnf clean all
# dnf -y install zabbix-agent zabbix-get
(3) 以下のコマンドを実行して、zabbix agentの設定ファイルを編集します
# cd /etc/zabbix/
# cp zabbix_agentd.conf zabbix_agentd.conf.org
# vi zabbix_agentd.conf
Server=【★zabbixサーバのIPアドレス】 ← 変更します。
hostname=【★エージェントをインストールしたサーバのホスト名】 ← 変更します。
ServerActive=【★zabbixサーバのIPアドレス】 ← 変更します。
(4) 以下のコマンドを実行して、zabbix agentの起動と自動起動設定を有効にします。
# systemctl enable --now zabbix-agent
(5) 以下のコマンドを実行して、zabbix agentで使用する通信ポートを開放します。
# firewall-cmd --add-port=10050/tcp --permanent
# firewall-cmd --reload
zabbix agent 2のインストール(Windows)
zabbixにてサーバの詳細なデータを取得する場合、専用のソフトウェアであるzabbix agentをサーバにインストールする必要があります。
以下、Windowsでのzabbix agent 2のインストール手順を記載します。
(1) zabbix agentのダウンロードサイト(https://www.zabbix.com/download)にアクセスして、「Zabbix Agents」をクリックします。
(2) 以下のzabbixの公式サイトにアクセスして、ZABBIX VERSIONなどを設定します。
・OS DISTRIBUTION : Windows (監視対象のOS)
・OS VERSION : Any (監視対象のOSのバージョン)
・HARDWARE : OSのビット数(32bitの場合i386、64bitの場合amd64)
・ZABBIX VERSION : 7.0 LTS (zabbixサーバのバージョン)
・ENCRYPTION : OpenSSL
・PACKAGING : MSI
(3) 下部にある「Zabbix Release」のバージョンを選択して、「Zabbix Agent 2」の「DOWNLOAD」をクリックします。
(4) ダウンロードしたファイル(例:zabbix_agent2-7.0.1-windows-amd64-openssl.msi)をzabbix agentインストール対象のサーバに移動して、実行します。
(5) 「Next」をクリックします。
(6) 「I accept the terms in the License Agreement」にチェックをつけて、「Next」をクリックします。
(7) 「Next」をクリックします。
(8) 以下の値を設定して、「Next」をクリックします。
・「Host name」にzabbix agentをインストールしている機器のホスト名
・「Zabbix server IP/DNS」にzabbixサーバのIPアドレス
・「Agent listen port」に1050
・「Server or Proxy for active check」にzabbixサーバのIPアドレス
(9) 「Install」をクリックします。
(10) 「Finish」をクリックします。
(11) Windows管理ツールのサービスを起動し、「Zabbix Agent 2」サービスを再起動します
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zabbix関連の記事は以下の通りです。
必要に応じて、ご確認ください。
No | タイトル | 記事の概要 |
---|---|---|
1 | zabbixのハンズオン形式での勉強 (構築、監視設定、アラート確認) | zabbixのおすすめの勉強方法をご紹介します。 |
2 | 仮想基盤構築(Virtualboxインストール) 〇Virtualboxバージョン6 〇Virtualboxバージョン7 | zabbixサーバを構築するための準備として、 仮想基盤のソフトウェアであるVirtualboxを インストールします。 |
3 | zabbixサーバのインストール 〇zabbixバージョン5.0 [仮想環境に構築] CentOS Stream 8、Ubuntu 20.04 [クラウド環境に構築] さくらインターネット、ConoHa VPS、 カゴヤ 〇zabbixバージョン6.0 [仮想環境に構築] CentOS Stream 8 〇zabbixバージョン7.0 [仮想環境に構築] CentOS Stream 9 | zabbixサーバを構築します。 |
4 | zabbixの監視設定の流れ | zabbixの監視設定の流れを理解します。 |
5 | zabbixの推奨の監視項目と zabbix agentのインストール ・zabbixバージョン5.0の場合 ・zabbixバージョン6.0の場合 ・zabbixバージョン7.0の場合 | zabbixにて監視する推奨の項目と、 監視対象サーバにzabbix agentを インストールする手順を理解します。 |
5-1 | 死活監視(ping監視) ・zabbixバージョン5.0の場合 ・zabbixバージョン6.0の場合 ・zabbixバージョン7.0の場合 | 死活監視の設定をします。 |
5-2 | TCP通信ポート応答監視 ・zabbixバージョン5.0の場合 ・zabbixバージョン6.0の場合 ・zabbixバージョン7.0の場合 | TCPの通信ポートの応答有無を監視する 設定をします。 |
5-3 | CPU使用率監視 ・zabbixバージョン5.0の場合 ・zabbixバージョン6.0の場合 ・zabbixバージョン7.0の場合 | サーバのOSのCPU使用率を監視する 設定をします。 |
5-4 | メモリ空き容量監視 ・zabbixバージョン5.0の場合 ・zabbixバージョン6.0の場合 ・zabbixバージョン7.0の場合 | メモリの空き容量を監視する設定をします。 |
5-5 | ドライブのディスク空き容量監視 ・zabbixバージョン5.0の場合 ・zabbixバージョン6.0の場合 ・zabbixバージョン7.0の場合 | ドライブのディスク空き容量を 監視する設定をします。 |
5-6 | プロセス監視 ・zabbixバージョン5.0の場合 ・zabbixバージョン6.0の場合 ・zabbixバージョン7.0の場合 | プロセスの停止を監視する設定をします。 |
5-7 | ログファイル監視 ・zabbixバージョン5.0の場合 ・zabbixバージョン6.0の場合 ・zabbixバージョン7.0の場合 | ログファイル中に特定のメッセージが 出力されたか監視します。 |
5-8 | ファイルの変更(チェックサム)監視 ・zabbixバージョン5.0の場合 ・zabbixバージョン6.0の場合 ・zabbixバージョン7.0の場合 | ファイルの内容が変わったことを 監視します。 |
5-9 | Windows OSのサービス状態監視 ・zabbixバージョン5.0の場合 ・zabbixバージョン6.0の場合 ・zabbixバージョン7.0の場合 | Windows OSのサービスの起動状態を 監視します。 |
5-10 | Windowsイベントログ監視 ・zabbixバージョン5.0の場合 ・zabbixバージョン6.0の場合 ・zabbixバージョン7.0の場合 | Windowsイベントログに特定のログが 出力されたか監視します。 |
5-11 | Webシナリオ(Webページ監視) ・zabbixバージョン5.0の場合 ・zabbixバージョン6.0の場合 ・zabbixバージョン7.0の場合 | Webアクセス時のHTTPステータスコードが 200番であることを監視します。 |
5-12 | SNMP trap監視 ・zabbixバージョン5.0の場合 ・zabbixバージョン6.0の場合 ・zabbixバージョン7.0の場合 | 機器から送信されたSNMP trapを 受信したことを監視します。 |
5-13 | ネットワーク機器監視 ・zabbixバージョン5.0の場合 ・zabbixバージョン6.0の場合 ・zabbixバージョン7.0の場合 | ネットワーク機器の監視設定をします。 |
6 | zabbixの監視データの確認と メール通知設定 | 監視データの確認方法を理解します。 また、障害発生時のアラートメールの 通知設定をします。 |
7 | zabbixの詳細設計書(パラメータシート)の サンプル | zabbixのパラメータシートのサンプルを 記載します。 |
8 | 【仕事依頼】zabbixサーバの 要件定義、設計、構築 | zabbixの構築作業をご依頼いただける場合の 作業の流れなどを記載します。 |
zabbix関連の書籍
zabbixに関する設定を網羅的および詳細に学びたい場合、以下の書籍がおすすめです。
ページ数が多い書籍ですので、分からないことを調べる辞書の役割にもなります。