本記事の概要
インフラエンジニアとして業務に行う場合、各機器(サーバやネットワーク機器)の異常を早期発見して、対処することが求められます。
本記事では、サーバやネットワーク機器などの稼働監視で使用するzabbixというソフトウェアをインストールする手順を記載します。
今回は前の記事でインストールしたVirtualBox上にCentOSをインストールして、その中にzabbixをインストールすることを想定しています。
※本記事の作成日(2021年2月27日)時点での動作確認をしていますが、Webページなどが更新されている可能性があります。適宜読み替えてください。
以下のようなイメージで作成します。
ソフトウェアの構成
Zabbixとは
zabbixとは、サーバやネットワーク機器を監視するためのソフトウェアです。
オープンソース・ソフトウェアとして開発されているため、無償で使用することができます。
zabbixでは、ping監視、通信ポート監視、OSの性能監視(CPU、メモリ、ディスクI/Oの負荷)、サービス監視、ログ監視など様々な監視をすることができます。
CentOS Stream 8のインストール手順
zabbixのインストール
【補足】 zabbixによるSNMP監視の設定
もしzabbixサーバを用いてSNMP trapを用いた監視をする場合、本手順を実施する必要があります。
本手順はzabbixの公式サイトである「https://www.zabbix.com/documentation/2.0/jp/manual/config/items/itemtypes/snmptrap」を参考にして作成しています。
(1) 以下のコマンドを実行して、zabbixでSNMP監視をするために必要なパッケージをインストールします。
# dnf install -y net-snmp net-snmp-utils net-snmp-perl
(2) 以下のコマンドを実行して、SNMP trapを処理するためのスクリプトを格納します。
# dnf -y install wget tar
# wget https://cdn.zabbix.com/zabbix/sources/stable/5.0/zabbix-5.0.9.tar.gz
# tar zxvf zabbix-5.0.9.tar.gz
# cp -p zabbix-5.0.9/misc/snmptrap/zabbix_trap_receiver.pl /usr/local/bin/
(3) 以下のコマンドを実行して、スクリプトの実行結果のログの格納先を設定します。
# vi /usr/local/bin/zabbix_trap_receiver.pl
【変更前】
$SNMPTrapperFile = '/tmp/zabbix_traps.tmp';
$DateTimeFormat = '%H:%M:%S %Y/%m/%d';
【変更後】
$SNMPTrapperFile = '/var/log/snmptrap/snmptrap.log';
$DateTimeFormat = '%H:%M:%S %Y/%m/%d';
(4) 以下のコマンドを実行して、スクリプトに実行権限を付与します。
# chmod +x /usr/local/bin/zabbix_trap_receiver.pl
(5) 以下のコマンドを実行して、スクリプトのログ格納場所のディレクトリを作成します。
# mkdir /var/log/snmptrap
(6) 以下のコマンドを実行して、snmptrapdの設定を変更します。以下の設定値は、SNMPのバージョンはSNMPv2で、コミュニティ名が「public」を使用することを想定しています。
# vi /etc/snmp/snmptrapd.conf
【追記内容】
authCommunity log,execute,net public
perl do "/usr/local/bin/zabbix_trap_receiver.pl";
(7) 以下のコマンドを実行して、snmptrapdサービスの起動及び自動起動をします。
# systemctl start snmptrapd
# systemctl enable snmptrapd
(8) 以下のコマンドを実行して、SNMP trapの送信テストを実行すると、ログファイルに格納されたことを確認します。
# snmptrap -v 2c -c public 127.0.0.1 '' .1.3.6.1.6.3.1.1.5.3
# cat /var/log/snmptrap/snmptrap.log
⇒SNMP trapのログが出力されることを確認します。
(9) 以下のコマンドを実行して、zabbixサーバ側でSNMP trapの受信を有効にします。
# vi /etc/zabbix/zabbix_server.conf
【変更前】
# StartSNMPTrapper=0
【変更後】
StartSNMPTrapper=1
(10) 以下のコマンドを実行して、zabbix-serverサービスを再起動します。
# systemctl restart zabbix-server
(11) 以下のコマンドを実行して、SNMP trapのポート(161/udp)のファイアウォールを開放します。
# firewall-cmd --add-port=161/udp --zone=public --permanent
# firewall-cmd --reload
(12) 以下のコマンドを実行して、ログローテーションを有効にします。
# vi /etc/logrotate.d/snmptrap
【設定内容】
/var/log/snmptrap/snmptrap.log {
daily
rotate 20
compress
delaycompress
missingok
notifempty
}
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必要に応じて、ご確認ください。
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