Amazon EC2とは
Amazon EC2(Amazon Elastic Compute Cloud)とは、Amazonが提供している仮想サーバーを構築できるクラウドサービスです。
EC2のサービスを利用することで数分間で世界各地に任意のスペックのOSを構築することができます。
AWSにて物理的なセキュリティは実施しているため、利用者はOSやミドルウェアやアプリケーションのセキュリティを意識して運用する必要があります。
ブログ作成時点(2021年4月13日時点)では、AWS EC2の仮想OSイメージとして以下の5種類提供されています。
AWSの仮想イメージのことをAMI(Amazonマシンイメージ)といいます。
No | OSの種類 | 概要 |
---|---|---|
1 | Windows Server | Microsoft社が開発したサーバ用オペレーティングシステム。 Windows系のOSでサーバ構築する場合は、Windows Serverを利用します。 |
2 | Ubuntu | フリーソフトウェアのLinux OS。 |
3 | Debian | フリーソフトウェアのLinux OS。 |
4 | Red Hat | レッドハット社が開発したビジネス顧客向けのLinux製品。 別途AWS用のRed Hat Cloud Accessを購入すると、Red Hat社からサポートを受けることができます。 日本で幅広く利用されています。 |
5 | SUSE | SUSE社が開発したビジネス顧客向けのLinux製品。 日本ではあまり利用されていません。 |
Amazon EC2の構成要素
Amazon EC2は以下のものから構成されています。
(1) インスタンス
インスタンスはOSがインストールされた仮想サーバーのことです。
インスタンスを作成する場合は、AMI(Amazonマシンイメージ)を用いてインスタンスを作成します。
(2) インスタンスタイプ
インスタンスタイプはサーバのスペック(CPU、メモリ)の組み合わせをまとめたものです。
インスタンスを作成するときや、稼働後のスペック変更をするときにインスタンスタイプの中から選択します。
(3) インスタンスストア
インスタンスストアは一時データの格納するストレージです。
インスタンスを停止、休止、または終了すると、インスタンスストア内のデータが削除されます。
Amazon EC2のインスタンスタイプについて
Amazon EC2のインスタンスタイプは以下のものから構成されています。
インスタンスタイプは「t2.micro」などの表記で表し、それぞれ以下のように定義されています。
・先頭のローマ字(今回はt) : インスタンスファミリー
・インスタンスファミリーの後ろの通じ(今回は2): 世代
・.の後ろの文字(今回はmicro):インスタンスサイズ
(2) インスタンスファミリーと世代
インスタンスファミリーは、何を最適化しているインスタンスタイプかを表します。
世代は、インスタンスファミリーが作成された順番を表します。数字が大きいものほど最新のものとなります。
2021年5月4日時点では、現行世代のインスタンスは以下のタイプがあります。旧世代のインスタンスは一般的に使用しませんので、省略します。
利用用途 | タイプ |
---|---|
コンピューティングの最適化 | C4、C5、C5a、C5ad、C5d、 C5n、C6g、C6gd |
ストレージの最適化 | D2、D3、D3en |
高速コンピューティング | F1、G3、G4ad、G4dn、Inf1、 P2、P3、P3dn、 |
ストレージの最適化 | H1、I3、I3en |
汎用 | M4、M5、M5a、M5ad、M5d、 M5dn、M5n、M5zn、M6g、M6gd、 T2、T3、T3a、 |
メモリ最適化 | R4、R5、R5a、R5ad、R5b、 R5d、R5dn、R5n、R6g、R6gd、 u-xtb1、X1、X1e、z1d、 |
(2) インスタンスサイズ
インスタンスサイズは、スペック(vCPUやメモリ容量)を表します。
[nano]→[micro]→[small]→[medium]→[large]→[xlarge ]→[2xlarge]→[4xlarge]→・・・の順番に高スペックになり、使用料金も高くなります。
それぞれのインスタンスタイプの詳細については、以下のAWSの公式サイトをご確認ください。
Amazon EC2の料金
Amazon EC2は主に以下の3つの料金が掛かります。
(1) オンデマンド料金(EC2の稼働に対する料金)
EC2インスタンスを起動している間、オンデマンド料金が掛かります。
そのため、動作する必要がない場合は、EC2インスタンスを停止して費用を削減することを推奨します。
また、OSやリージョンやインスタンスタイプによって、料金が異なります。
(2) データ転送料金(EC2の稼働に対する料金)
EC2インスタンスに対しての通信(インバウンド通信)は料金が掛かりません。
しかし、EC2インスタンスからリージョン外に対する通信(アウトバウンド通信)をする場合、行う場合はデータ料金が掛かります。
データ転送料金については、リージョンごとに料金が変わります。
(3) ストレージの利用料(Amazon EBSの使用料金)
EC2インスタンスを使用する場合、ストレージとしてAmazon EBS(Elastic Block Store)というストレージを使用する必要があります。
そのストレージの費用が掛かります。
EC2インスタンスが存在する間、ストレージの料金が発生しますので、ECインスタンス停止中も料金が発生します。
また、EC2インスタンスの利用用途に5つの支払い方法を選択でき、それぞれ料金が異なります。
支払い方法の概要は以下の通りです。
(1) オンデマンドインスタンス
一般的にEC2インスタンスで利用されているのがオンデマンドインスタンスです。
低コストで柔軟にインスタンスタイプを変更やEC2インスタンスを削除する場合、オンデマンドインスタンスを利用することを推奨します。
(2) スポットインスタンス
空いているEC2のキャパシティを用いて、インスタンスを利用するのがスポットインスタンスです。
空いているキャパシティを利用するための料金(スポット料金)は時間に変動します。
事前に利用する料金(リクエスト料金)を設定して、そのリクエスト料金よりスポット料金が低い時にEC2インスタンスを利用することができます。
そのため、[リクエスト料金] < [スポット料金] の場合は、EC2インスタンスが停止してしまいます。
スポットインスタンスは処理が途中終了しても問題ないインスタンスで利用されます。
投資形式でEC2インスタンスを利用していると考えるとイメージしやすいと思います。
(3) リザーブドインスタンス
事前に長期間EC2インスタンスを利用することが決まっている場合、リザーブドインスタンスを選択することで料金が安くなります。
1年または3年の期間に一定量を利用することが決まっている場合は、リザーブドイスタンスを利用することを推奨します。
(4) Dedicated Hosts
Dedicated HostsでEC2インスタンスを専有できます。
既存のサーバー限定のソフトウェアライセンス(Windows Server、SQL Server、SUSE Linux Enterprise Serverなど) をライセンス条項の下で使用できますので、ソフトウェアライセンスやセキュリティ要件で専用のホストが必要な場合に選択します。
(5) Savings Plans
1年または3年の期間に一定量を利用する契約を結ぶ代わりに、安くEC2を利用することができます。
「Savings Plans」は使用量を決めるのに対して、リザーブドインスタンスは使用時間を決めます。
また、サーバーレスコンピューティングサービスのAWS Lambda等で使用する場合にも適用されます。
EC2インスタンス以外のサービスを利用する場合は、別途料金が発生する可能性がありますので、ご注意ください。
EC2の料金や関連サービスの料金については、以下のAWSの公式サイトをご確認ください。
Amazon EC2に関連するAWSの用語とその他サービス
Amazon EC2のみでも仮想サーバーを構築することが可能ですが、他のサービスを利用することで可能性の向上や稼働監視を行うことができます。
No | サービス名 | 概要 |
---|---|---|
1 | リージョン/ アベイラビリティゾーン | EC2インスタンスなどを構築する物理的な場所です。 |
2 | Amazon Virtual Private Cloud (VPC) | 論理的に分離された仮想ネットワークを作成するサービスです。 EC2インスタンスのネットワーク構成を作成する際に利用します。 |
3 | Amazon EBS | 内蔵ストレージであるHDDやSSDを提供するサービスです。 EC2インスタンスのデータを保存するために利用します。 |
4 | AWS Auto Scaling | EC2の負荷状況に応じて容量調整するサービスです。 |
5 | Elastic Load Balancing (ELB) | トラフィックを複数のターゲット(EC2等)に自動分散するロードバランサーです。 |
6 | Amazon CloudWatch | アプリケーション(EC2の性能情報やログ等)を監視するサービスです。 |
7 | セキュリティグループ | EC2インスタンスごとに通信制御するファイアウォールです。 |
8 | AMI (Amazonマシンイメージ) | EC2インスタンスを作成するためのマシンイメージです。 |
上記のNo.1からNo.7とEC2インスタンスの関係を図に表すと、以下のようになります。
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